私、鍋家 武は実は両耳に「難聴」という障がいを抱えています。
全く聞こえないわけではありませんが、タイヤの鳴く音、エンジンの細かい音、ブレーキが鳴く音等、聞こえない音があります。もしかすると私自身、全く知らない音もあるかもしれません。
モータースポーツを初めて30年以上経過して、練習を積み重ねて、タイヤのグリップ、エンジンの特性、ブレーキフィールなど、体で感じ取れるようになり、人並みにドライビングする事が出来るようになりましたが、やはり「難聴」はハンデとなるのかもしれません。
スーパー耐久シリーズに参戦するにあたり、この私自身の障がいをどう克服するか?
レース中のピットとの無線交信はどうするのか?
走行中マシンからの異音やトラブルの元となる音が感じる事ができるか?
タイヤの状態を音で感じる事ができないので、どれだけ繊細にタイヤを労わる事ができるか?
正直、数えきれないほどの不安があります。
しかし、私以上の障害で苦しんでいる障がい者は世界に沢山居て、この瞬間もみんな一生懸命生きています。
その中で、私は自身の障がいに負けるわけにはいきません。
スーパー耐久シリーズへの参戦で、自身の可能性にもチャレンジし、そして一人の障がい者として、レースにそして自身の障がいに挑戦します。
チームメイトには沢山迷惑や心配をかける事になるかもしれませんが、集中力と頑張る姿勢で恩返し出来ればと思います。
私以外にも、既にスーパー耐久には私より高難度の聴力障がい者を抱えるドライバーが参戦されています。
私の先輩に当たりますが、良きライバルとして、共に全国の聴覚障がい者の方に力強いエールとメッセージを送りたいと思います。
障がい者だからと言って、自分自身にリミッターをかけるのではなく、自分の可能性を信じて、更にこのハンデをバネにして新しい世界に挑戦して、自分の人生を意味あるものにしたいと思います。
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